自由度が後退!? 新NAFTAのサイドレターにて米国の自動車・自動車部品の輸入制限

自由度が後退!? 新NAFTAのサイドレターにて米国の自動車・自動車部品の輸入制限

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 新NAFTA(USMCA)本文とは別にサイドレターが米メキシコ間と米カナダ間が結ばれました。当該サイドレターにて米国の自動車・自動車部品輸入に対する追加関税の適用除外となる数量・金額上限が設定され、合意されました。なお、追加関税を米国が発動した場合、メキシコが上限を超過する可能性が高いので注意してください。

自動車分野の原産地規則が厳格化

新NAFTAでは、下記の産品について原産地規則が厳格化されました。

完成車 ▶︎ 乗用車・小型トラック

基幹部品(15品目) ▶︎エンジン、リチウムイオン電池等

主要部品(53品目) ▶︎タイヤ、ガラス、ブレーキ等

補完部品(28品目) ▶︎測定装置、配線セット等

具体的には、完成車や自動車部品の原産割合の比率が毎年上昇し、段々と原産性を取得するのが厳しくなってきます。

完成車  66.0%(2020年)→69.0%(2021年)→72.0%(2022年)→75.0%(2023年)
基幹部品 66.0%(2020年)→69.0%(2021年)→72.0%(2022年)→75.0%(2023年)
主要部品 62.5%(2020年)→65.0%(2021年)→67.5%(2022年)→70.0%(2023年)
補完部品 62.0%(2020年)→63.0%(2021年)→64.0%(2022年)→65.0%(2023年)

自動車・部品の輸入数量・金額制限

 上記新NAFTA(USMCA)の他にも自動車やその部品に関する取り決めがなされました。新NAFTA(USMCA)のサイドレターにて米国の自動車・部品輸入に対する追加関税の適用除外となる数量・金額上限が、米国メキシコ間と米国カナダ間で合意されました。具体的には米国が通商拡大法232条に基づく追加関税を発動した場合、以下の上限までは追加関税適用の対象外となります。

乗用車    ▶︎ メキシコ・カナダとも年間260万台

自動車部品  ▶︎ メキシコ1,080億ドル カナダ324億ドル

小型トラック ▶︎ 無制限

(参考)米国の通商拡大法232条について

米国通商拡大法232条
ある産品の米国への輸入が米国の国家安全保障を損なうおそれがある場合、関税の引き上げ等の是正措置を発動する権限を大統領に付与する規定

 なお、2019年の米国の乗用車輸入台数は、メキシコ211万台・カナダ155万台となっております。カナダからの米国の乗用車輸入は減少傾向である一方、メキシコは2019年(前年比6.3%)並みの伸びが続くと2023年頃に上限を超える可能性があります。したがって、将来、米国の追加関税が発動され、メキシコで生産され米国に輸入される乗用車が260万台を超える場合、超えた分については追加関税が課される形になります。

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