ヒロさんの貿易実務ガイドブックvol.2-1「物流費削減への挑戦」

ヒロさんの貿易実務ガイドブックvol.2-1「物流費削減への挑戦」

 なんとかはじめての貿易業務をやり遂げたあなた。少し自信もつき、用語もわかり始めたかなぁ…というある日の夕方。

 上司から「ある物流業者から営業されてさ、見積りもらったらか比較検討してくれない?金額が安かったらこちらに切り替えても良いし・・・」と資料を渡されます。そこには「見積書」と記載があり何やら項目と金額の記載がありますが……見方がよくわかりません。

「どうやって調べたら良いんだろう・・・?」

インコタームズを把握する

 はじめにあなたの企業が負担している費用の範囲をハッキリさせましょう。
物流費の見直しでも他社との比較検討であっても、今かかっている物流費用が「どこにある貨物をどこまで持ってきている」費用なのか?これが理解できていないといけません。他の物流業者の見積り金額と比較する訳ですから同じ範囲内で比較をしないと意味がありません。

 そこで押さえておくべきはインコタームズです。インコタームズとは、国際商業会議所 が策定した貿易条件です。よくCIFとかFOBとか聞きますね?あれです。ここでは一つ一つ説明はしませんので詳しくはインターネットで調べてみてください(例えば、ここが図解入りでわかりやすいです:http://www.hps-trade.co.th/about-incoterms?lang=ja)。まずあなたの会社が海外から仕入れしている貿易取引のインコタームズが何であるか?これを把握するのが第一歩です。

 代表的なものだけ例を取って説明をしますと、ある取引案件のタームが「CIF東京」とあった場合。あなたの会社が負担する費用は東京港に到着している貨物を引き取って目的地への配送に関する全ての費用を負担するという事です。「FOB上海」とあった場合は、中国の上海港にあるあなたの貨物を日本の目的地へ配送するまでの全ての費用をあなたの会社が負担するという事になります。

 CIFやFOBはかなり以前から現在までよく使われるターム(取引)です。最近の傾向としてはDDPが増えてきているように思います。この条件は目的地配送までの費用を全て売主(売買契約の相手)が負担するというタームです。よく通販で買い付けした契約で使用されますが一般貨物でも見受けられます。

FOBやCIFのケースが最も多い

 このタームの決定のポイントですが、色々な要素はあると思いますがそのうちの一つが海外での物流手配の強み弱みが反映されているように思います。

 例えば、EXWとなった場合、海外の工場にある貨物の引き取りから日本側で引取配送手配と費用負担をすることになりますが、日本の企業がわざわざ海外に行って引き取る訳ではありません。委託する日本にある物流企業の現地法人か現地の協力企業が段取りをするわけです。結局現地にある企業が動くわけなので、日本側の手配する企業なのか、売手の現地の物流企業が手配するのかの違いだけなのです。上にあげたDDPも同じ事で売手の費用負担で日本国内の配送も行われますが、その物流業者は現地の売手の指示によって動いています。

 売手も買手も、現地の配送等の手配もできる、そこに強みがある、という時はEXWやDDPになるケースがあると思いますが、そうでない場合はFOBやCIFになったりします。そしてそのケースが非常に多いです。FOBとCIFは現地か国内かの違いはありますがどちらも港止めです。容易に手配する事が出来ると思います。だからその条件で合意しやすいのだと思います。

 タームについては物流以前に海外企業との取引に関わる話ですでに契約が取り交わされている条件の一つです。よく分からなければ社内の然るべき部門に確認をして把握をして下さい。

運送手段は船か飛行機か

 あと念のため運送手段が船なのか飛行機なのか、これも確認しておきましょう。タームの後に来る地名(港等)でおおよそそれはわかります。例えばCIF NARITAなら飛行機で成田空港まで持ってくるという事です。もちろん、船と飛行機では運賃が全く違います。到着する場所も港と空港では違います。物流費用比較の上ではそこの把握は必要です。

取り扱い貨物の特殊性を確認する

 そして貨物の特殊性も確認しておきましょう。その取引の貨物が特殊な貨物なのか?ここでいう特殊とは配送する過程で物流上何か特別な対応をしなければならない貨物なのか?という事です。例えば生鮮の野菜とかであれば冷蔵して持ってくる必要があります。特別な対応をしなければ品質が落ちる、そういう対応は追加費用がかかる事が一般的です。その特別な対応が必要かどうかは物流業者のアドバイスとあなたの会社の商品管理の担当者に聞く事が必要です。後で、実はこういう手配が必要だというのがわかった、という事が無いように事前に確認をしておきましょう。

あなたはここまで調べてきて何となく大枠で物流の範囲を掴めたようです。

「なるほど、インコタームズか・・・」                    

そこで、手渡された見積書を見ると……ターム以外の横文字の用語であったりなんとか料とかの金額が列記されています……

「はて?これは何のことだろう・・・」

次回へ続く・・・

なお、この記事に関する執筆者ヒロさんへのお問い合わせや無料相談はこちらから!

Translate »