ヒロさんの貿易実務ガイドブックvol.2-4「物流費削減への挑戦(最終回)」

ヒロさんの貿易実務ガイドブックvol.2-4「物流費削減への挑戦(最終回)」

あなたは業者間の金額の差が何となくわかるような気がします。
「どの企業でも強みと弱みはあるからね・・・」

でも少し腑に落ちない所が。。。去年の業者からの請求書が手元にあります。
「貨物量が少ないのに何でこんなに費用が高いんだろう・・・?」

最適な運送手段を再確認する

 あなたが現地にいる売手に発注をかける時、タームや売手の状況にもよりますが状況によって運送手段の選択ができる場合が出てくるでしょう。

海上(船)か、航空(飛行機)か?

 どちらでも選べる場合、結論は比較的簡単に出せると思います。飛行機の選択をする場合は、①費用よりも納期が優先されるか、②特殊な貨物である場合かのどちらかです。運送期間は言わずもがな飛行機が圧倒的な速さで到着し、輸入通関から配送までのスピードも一般的には船便の貨物の場合よりも早いようです。ただ、上記に挙げた理由でない限りは費用の安い船便の選択で考えた方が良いでしょう。
 一方、あなたの会社が輸入する貨物が常に飛行機で来るのならばその前提で業者間の費用比較をすれば良いと思います。

FCLか、LCLか?

 以下、船便という前提で話を進めていきます。上記の意味ですがFCL(Full Container Load):コンテナ1本そのもののスペースを荷主が占有する運送手段方法です。対してLCLは(Less than Container Load):混載貨物で1本分の貨物量にならない貨物の詰め合わせての運送手段方法です。

 例えばあなたが発注した貨物のボリュームが、総重量が15トン、総容積が18㎥としましょう。海上コンテナの一般的な種類は20Fコンテナと40Fコンテナがありますが、上記のボリュームならば20Fコンテナにちょうど収まるようです。このようにボリュームよって20Fコンテナが良いのか、40Fコンテナが良いのかを選択します。

 今度は貨物のボリュームが例えば100KG(100カートン)、2㎥としましょう。20Fコンテナ1本で運送するには運賃等の費用を計算すると貨物量に対して見合わないようです。その時は「混載貨物」の選択をします。

 ただ貨物量によってFCLが費用的に最適なのかLCLの選択が良いのか?迷うラインがあります。運ぶ貨物量が、20F(& 40F)コンテナの最大積載量の半分くらいの量だった場合にこの迷いが出てくると思います。感覚ではありますが、半分くらいの量であればFCLの選択の方がLCLよりもコストはかからない気がします。いずれにしましても、しっかりと業者にFCLとLCLの場合の見積もりを取って費用試算をする必要はあります。

 今回の冒頭にお話した「貨物量が少ないの何でこんなに費用が高いんだろう?」というのは、この選択を間違ってしまったからです。

 加えて、FCLの場合とLCLの場合の物流フローも若干異なります。ご説明した通り、LCLというのはあなたの会社の貨物以外に、船会社が集客した別の会社の貨物も1本の貨物に積み込む訳です。その積み込む作業にはもちろん時間がかかります。日本に到着後もコンテナの貨物を倉庫でデバンニングをして輸入通関を経てあなたの元へ配送となりますが、その配送手段もLCL貨物ではトラックになるので、FCL貨物でのトレーラー配送とは異なるので費用も変わってきます。
 前々章で「物流フローごとに項目を分類」というお話をしましたが、FCLとLCLの物流フローも整理をした上で、各項目をそのフローに落とし込むという作業から始めた方が理解は早いと思います。また委託業者間での強みと弱みを見つけやすくなります。前章で説明した強みと弱みについて、FCLが強くLCLが弱いという業者もあればその逆の業者もあります。

総合的に判断する

 以上、4章にわたり駆け足で話を進めてきました。お話ししてきた説明は表面的なものであり初心者であるあなたへのこれからの指針となるもので、費用削減の知識全てではありません。あなたはこれから沢山の実務をこなし業務を進めてくうちに、迷いやわからない事、時に失敗もするでしょう。しかしそれは貴重な経験や知識であり、あなたなりの引き出しが沢山出来るという事です。そこで初めて正確な費用削減ができるようになるのではないかと思います。沢山経験を積みましょう。

 また、今回は費用削減というテーマで話を進めましたが、時折触れまたように目に見える金額だけではなく他の要素も考慮する必要もあります。
納期(リードタイム)であったり、業者のオペレーションの質、今回触れたLCL貨物(貨物のダメージがFCLよりも起きやすい)であったりと、時間や対応する労力がかかる場合があります。内容によってはコスト削減とトレードオフになるケースもあります。費用削減のやり方は押さえておくとして、最終的には総合的に捉えて判断するのが宜しいと思います。「費用削減」というのは金額だけを下げるものではない、と物流業者出身の私は強く思います。

終わりに・・・

 最後になりますが、今まで4回に渡る記事へのご質問、ご意見等御座いましたら是非お聞かせください。今後の私自身の活動や皆様へのお手伝いの参考になるように吸収したいと思っております。

有難うございました。

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