【10分でわかる!!】日EU EPA 10%以下は無視!!

【10分でわかる!!】日EU EPA 10%以下は無視!!

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「関税分類変更基準」が使えないとなっても諦めないで!!

関税分類変更基準の救世主:デミニマス

 デミニマスとは、「少ない非原産材料は無視してもいい」というルールです。「少ない非原産材料」のどのくらいを少ないと考えるかは、各協定やHSコード毎に違いますが、日EU EPAは取引価格(FOB価格)の10%以下は「少ない」とされデミニマス・ルールを活用できます。ちなみに、日EU・EPAでは「許容限度」という名称で第3.6条に詳細が規定されています。特に、関税分類変更基準で原産性を証明しようとしたところ、ある一部の非原産品の部品がHSコードの変更基準(CC、CTH、CTSH)を満たさない場合がその部品の輸入(CIF)価額が10%以下であればその部品は無視できるので、このデミニマスルール(救済規定の一つ)を使うことで関税分類変更基準にて原産資格を得れる可能性が広がります。

事例1 自動車のクラッチ  

  • FOB価格  1,000ドル
  • HSコード 8708.93
  • 関税分類変更基準:CTH
  • 締約国以外からの輸入部品A HSコード 8708.XX  75ドル 
  • 締約国以外からの輸入部品B HSコード 8708.XX  25ドル

 上の例によると、自動車のクラッチのHSコードは8708.93です。関税分類変更基準を使う場合、CTHとなっているので、上4桁の変更が必要になります(関税分類変更基準の詳細はこちら)。

 一方、日本やEUといった締約国以外からの輸入部品Aと輸入部品Bの上4桁は両方とも8708なので、自動車のクラッチの上4桁8708と変わりません。従って、関税分類変更基準は使えないのではと一見すると思いますが、それぞれの輸入部品のCIF価格の合計が100ドル(75+25)でFOB価格の1,000ドルの10%となり、デミニマスルールの10%以下に該当します。

 その結果、この輸入部品Aと輸入部品Bは無視していいこととなり、それ以外の非原産材料や部品についてHSコードの上4桁が変更していれば(あるいは原産品であれば)、関税分類変更基準によりこの自動車のクラッチは原産性を取得できます。

事例2 パスタセット

  • パスタ       原産品 10€
  • ミートソース 原産品      7€
  • チーズ          非原産品  3€

 もう一つデミニマスルールを適用できる例としてセット品として輸出入されるケースがあります。原則は、セット品を構成するそれぞれが原産品でないと全体として原産品にはなりません。ただ、こちらについて日EU EPAでは非原産品の価額が15%以内であればセット品はデミニマスルールが適用され、原産品として原産性を取得できます。

 上の例でいきますと、パスタとミートソースは原産品ですが、チーズが例えば締約国以外から輸入したといった形で非原産品だった場合、本来であれば、このセット品は原産品にはなりません。ただ、非原産品のチーズが3€とセット価額20€の15%となり、15%以下というデミニマスルールを適用することが可能となります。従って、上記パスタセットはセット品として「原産性あり」となります。

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