輸出品の原産性はどうやって証明するのか?

輸出品の原産性はどうやって証明するのか?

原産品であるか否かを特定するルール(原産地規則)

 経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)には、条約の締約国内で生産された産品の関税を削減、撤廃するメリットがあります。このメリットを享受するためには、輸出する産品がEPAやFTAの締約国の産品(原産品)であることを明らかにする必要があり、このため、各EPA(FTA)では、産品が原産品であるか否かを特定するルール(原産地規則)を定めています。

 原産地規則には様々なルールがありますが、その中で最も分かりやすい例は、締約国内で産出された鉄鉱石や締約国で生まれて成育された牛のように、締約国内で完全に生産されるもの(完全生産品)を原産品とするルールです。

 このほか、第三国から輸入した材料や部品を用いて産品が製造される場合には、それぞれの産品ごとに定められた原産地規則を満たす実質的な生産・加工作業が必要になります。実質的な生産・加工作業の基準として、関税分類変更基準、付加価値基準、加工工程基準がありますが、今回は、もっとも利用の多い関税分類変更基準と付加価値基準について説明します。

関税分類変更基準について(CTCルール)

 関税分類変更基準とは、原産地証明書の発給を受ける産品の部品表等にHSコードを振り、「産品」と使用した「材料・部品」との間でHSコードが変更されているか否かによって原産性を判断するというものです。

付加価値基準(VAルール)

 一方、付加価値基準とは、産品の生産工程により形成された「原産資格割合」(原産材料価額を含む)を算出し、一定の基準値(付加価値部分が40%以上であることが多い)を超えるか否かによって原産性を判断するというものです。具体的には下記2種類の方式があります。

<控除方式> 非原産材料を特定することで、又は、原産材料を特定しその価額合計を材料費全体から差引くことで非原産材料価額(VNM: Value of Non-originating Materials)を求め、FOB価額に対する割合を算出する方式

<積上げ方式> 原産部分(原産材料価額+生産コスト(労務費・製造経費)+利益等)を積上げた額のFOB価額に対する割合を算出する方式

関税分類変更基準(CTCルール)と付加価値基準(VAルール)のメリット、デメリット

 多くのケースでは、関税分類基準(CTCルール)と付加価値基準(VAルール)を選べるようになっています。ただ、一回限りの輸出であれば、VAルールの方が手取り早く原産性を証明できるので楽ですが、継続的に輸出する場合は、CTCルールをお薦めします。と言いますのは、VAルールですと、原則毎回一定の基準値(40%の付加価値)をクリアーしているか確認する必要があります。原価が毎回変わることがなければ確認に手間はかかりませんが、原材料や部品を外貨で仕入ているものが含まれていると為替レートが変わるたびに調べないといけません。ということは、ほぼ毎回調べる形になります。

 一方、CTCルールであれば、部品点数がたくさんあると初回の判定に時間はかかりますが、製品の構成部品が変わらない限り、一度判定すればその後は継続的に利用できます。したがって、継続的な輸出品であれば最初は大変であってもCTCルールをお薦めします。

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