日・ASEAN EPAのBack-to- Back COについて

日・ASEAN EPAのBack-to- Back COについて

「Back-to-Back CO」とは、日本語で「連続する原産地証明書」と訳されます。さて、この「連続する原産地証明書」とは一体どういうものでしょうか?

「Back-to-Back CO」とは?

 日本とアセアン間のEPAの附属書四「運用上の証明手続き」の第三規則4 は、Back-to-Back COを発給することが出来る旨の記載があります。

 Back-to-Back COは、ある締約国から輸出された原産品が他の締約国を経由して、さらに別の締約国に輸入される場合に、経由国において貨物に対して何も加工されず、最初の輸出国で得た原産資格が変更しない場合に、経由国の原産地証明書の発給機関により発給される原産地証明書のことをいいます。

 ここで注意が必要なのは、経由国でBack-to-Back COの発給を受けるためには、輸出国で当該貨物に対して発給された原産地証明書が必要になるという点です。 ちなみに、Back-to-Back COは日本が締結しているEPAのうち、日本・ASEAN EPAにおいてのみ導入されています。

Back-to-Back COを活用するメリット

 Back-to-Back COの発給が経由国で認められるメリットはとしては、経由国を物流のハブとして物流の経由地とすることにより物流機能を集中させ、そのコストを削減し、機動的で効率的な物流網を構築できるということです。経由国では、対象となる産品に対して何も加工されず、もとの原産資格を維持していることを確認することになります。特にシンガポールでは、物流のハブ(経由国)としてこのBack-to-Back-COが発給されるケースが多いです。最近ではベトナムでも実例があるようです。

各締約国の発給機関に確認が必要

 日・ASEAN EPAでは、経由国においてBack-to-Back COを発給するか否かについて明示的な規定がありません。したがって、実際に運用(原産資格の維持を担保・確認する方法)は締約国によって異なります。したがって、日・ASEAN EPAに基づきBack-to-Back COを発給するか否かの運用については、各締約国の原産地証明書発給機関に確認する必要があります。

 ちなみに、日本で日・ASEAN EPAに基づく特定原産地証明書を発給するのは日本商工会議所です。ただ、日本において貨物に対して何も加工されず、当初の輸出締約国で得た原産資格が変更されていないことを確認することが実務上困難なことから、現時点では、日本ではBack-to-Back COを発給しないことになっています。

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