「付加価値基準」による原産性はどのように証明すればいいの?

「付加価値基準」による原産性はどのように証明すればいいの?

対象産品に関するワークシートの作成

 付加価値基準によって原産性を証明する場合、下図のようなワークシートを作成して、「控除方式」、「積み上げ方式」、「非材料費からのアプローチ」のいずれかから、もっとも簡便な方法によって、閾値を超えるか否かを検討する必要があります。

出典:「原産資格を立証するための基本的考え方 の基本的考え方と整えるべき保存書類の例示」2012年1月改訂 経済産業省

 なお、控除方式の場合は、原産材料の原産性および価格を証明する必要がありませんが、積み上げ方式の場合は、原産材料の原産性および価格を証明する必要があります。したがって、積み上げ方式による場合の原産材料の原産性および価格の立証の工数と、控除方式の場合の非原産材料の価格の立証の工数を勘案して、より簡便な方法を選択してください。実務的に控除方式の方がより簡単であることが多く、控除方式をとるケースが多いです。

原産資格割合の場合に使用する原価について

 原産資格割合を算出する際に使う価格(原価)は、輸出産品の生産に用いられる原材料や費用の実際の価格(実際原価)を用いることが原則ではあり、望ましいのですが、製品の特性上、「部品の種類が膨大」、「原材料の価格変動が大きい」、「製品自体の価格の変動が大きい」といった理由により輸出産品の付加価値基準を算出するにあたって実際原価を用いることが困難である場合は、会社が採用する会計基準に基づいて設定している「標準原価」や「予定原価を」用いることも可能です。

 ただし、この場合は標準原価(予定原価)と実際原価との差額を定期的に確認し、FTAやEPAで定められた閾値を常に超えていることを確認する必要があります。

付加価値基準における累積について

 付加価値基準においても累積の規定を利用することができます。最終生産品の生産過程でFTAやEPAの自国以外の締約国の原産品を材料として使用した場合、自国の原産材料として積み上げ方式の際の原産材料としてカウントすることが可能になります。

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